目次
1 財産調査の必要
離婚を決断された場合、単に離婚することを決めることだけではなく、親権や養育費、財産分与、慰謝料などについても話し合うことになります。しかし、必ずしも円満離婚ばかりではなく、揉めるケースも多くあります。一旦揉めると「できるだけ自分に有利に離婚したい」「相手の有利になることはしたくない」と考えるのが人の気持ちです。
そのため、自分に有利に離婚を進めるために、財産を隠すことがよくあります。
離婚する際にはまずは別居することが多いですが、一度別居すると自宅に戻って、財産を調べたりすることができなくなってしまいます。また、相手が家計を管理している場合には、相手方の財産だけでなく、自分名義の財産ですら把握していない場合もあります。
そこで、離婚を決断された場合には、相手に伝える前に、別居する前に、財産を調査する必要があるのです。
2 財産の調べ方
相手の財産を調べるといっても、まずはどのようにしたらいいのか分からない人が多いかと思います。そこで、財産を調べる方法にはどのようなものがあるかご紹介します。
① 支出関係を整理する
まずは財産を調べる前にどのような支出があって、どのような方法で支払っているか整理することから始めて下さい。
一般的には次のような支払が考えられます。
①家賃や住宅ローンの支払
②水道・光熱費の支払
③携帯電話料金の支払
④生命保険・損害保険等の保険料の支払
⑤奨学金や借金、ローンの支払
⑥クレジットカードの支払
これらの支払がどのような方法で支払っているかお調べいただくと、多くは口座引落の手続によって支払われていると思います。そこで、それぞれどこの口座から引落されているか調べることになります。例えば、家賃や住宅ローンであれば家主や銀行に確認すれば分かりますし、携帯電話であれば利用明細、保険であれば保険会社、借金やクレジットカードであれば利用明細を見ればわかるはずです。
② 家の中を探す
貴重品は家の中に保管していることが多いです。家庭よっては大切な書類を同じ場所に保管しているところもあります。通帳や保険証書、クレジットカード明細があれば、スマホで写真を撮るなどして証拠として残して下さい。通帳やクレジットカード明細があれば、支出関係の引落が全てあるか確認していただき、発見した通帳に引落がなければ、別に通帳があるはずです。また、通帳やクレジットカード明細が見つかれば、内容を全て確認いただき、どのような支払か把握してください。引落名義をインターネットで検索していただければどのような支払か分かるかもしれません。例えば、保険料の支払があれば、その保険を契約していることがわかります。
また、会社員の場合給料が振り込まれているはずですので、給料の振込履歴があるかも確認してください。公務員や大企業の場合は、給料を複数の口座に分けて振り込むことを指定できることがありますので、給与明細と照らし合わせて全額が振り込まれているかも確認が必要です。
もし、通帳など財産関係の書類が見つかれば、例え数年前の古いものであっても、スマホで写真を撮って証拠として残しておいてください。のちのち、重要な証拠になることもあります。
③ 車のダッシュボード
警戒心の強い方は、見られたくないものを車のダッシュボードに隠している方もいらっしゃいます。
例えば、へそくり通帳などの場合、車のダッシュボードに保管している可能性もあります。
④ インターネットの検索履歴
重要な財産の調べ方としてインターネットの検索履歴があります。相手のスマホの検索履歴を見ることはなかなか難しいですが、自宅にパソコンがあれば調べることができるかもしれません。
例えば、楽天銀行などのネットバンクの場合、通帳がなく、また郵送物が届くことはないので、口座を開設していることが全く分からない場合があります。しかし、インターネットでログインをしますので、検索履歴から少なくとも口座をもっている可能性があることは分かるはずです。また、株式取引をしている場合には、株価を調べたり、証券会社を調べたりしているケースがありますので、チェックが必要です。詳細についてまで分からない場合でも、相手に開示を求める手がかりになります。
3 調べきれなかった財産について
いろいろな方法により相手の財産を調べたものの、全てが判明するとは限りません。
しかし、手がかかりが少しでもあるかどうかでは大きな違いです。
相手に対して財産を全て開示しろと要求するのと、〇〇銀行〇〇支店の口座を開示しろと言うのでは、相手へのプレッシャーが違います。
また、裁判になった際には、銀行名や支店名までわかっていれば、裁判所から銀行に対して照会してもらうこともできます。
4 さいごに
相手に離婚の意思を伝えると、相手も警戒します。また、別居してしまうと相手の財産を探すことは非常に難しくなります。相手の財産を調べるチャンスは離婚の意思を伝える前、別居する前になります。
一人で思い付かない場合でも、一緒に考えると相手の財産を調べる方法を思い付くかもしれません。
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