目次
はじめに
協議離婚は、日本における離婚件数の大半を占めており、離婚届を役所に提出すれば離婚ができることは一般に広く知られています。
では、離婚届とはどういう物で、どこで入手し、何を記載して、どこに提出すればよいのでしょうか。
離婚届とは
離婚届とは、民法上の夫婦関係を解消し、戸籍法上の夫婦の一方を同一戸籍から離脱させるための申請およびその申請に用いられる指定された様式の書面のことです。届け出先は最寄りの市区町村役場となります。
協議離婚のときだけではなく、調停離婚や裁判離婚でも役所への提出が必要です。なお、調停離婚や裁判離婚では、協議離婚での場合と異なり、調停や判決が確定した時から10日以内に、離婚を求めていた側が単独で提出します。
協議離婚をすることが決まったら
協議離婚をする手続きは、夫婦の双方に離婚する意思があって、両者の合意に基づいて離婚届を市区町村役所へ提出し受理されることで完了します。
もちろん、その前に離婚に当たっての様々な条件面でも合意が成立していることも必要です。
離婚に当たっての条件には、親権や養育費、面会交流、財産分与などがありますが、これらについてもしっかりと取り決めを行い、書面にしておくことが望ましいです。
離婚届の入手
離婚することと離婚の条件が決まったら離婚届を入手します。
近くの役所(戸籍課)で取得することもできますが、市町村によってはホームページで離婚届をダウンロードできるところもあります。「市町村名 離婚届」などで検索してみてください。ダウンロードして利用する場合は、必ずA3の用紙にプリントアウトして利用するほか、各市町村の注意事項に従ってください。
証人が2人必要になるので事前にたのんでおく
調停離婚や裁判離婚の場合には不要ですが、協議離婚の場合には2名の証人が必要となります。具体的には、離婚届の証人の欄に署名・押印してもらうことになります。
証人について「証人は自分達以外の夫婦でもいいのか?」という質問がよくあります。結論から言うと夫婦で証人になることは可能ですが、その場合にはそれぞれに異なる印鑑を押してもらうことが必要となります。
もし証人となる人がいない場合、「離婚届証人代行サービス」というものもありますので、参考にしてみると良いかもしれません。
離婚届への記入
離婚届を入手したら、記載が必要な欄を埋めていきましょう。
届出の日付を記入
離婚届を提出する日付を記入します。離婚届が受理された日が、法律上の離婚した日になります。
氏名、生年月日の記入
氏名は婚姻中の姓を記入し夫婦それぞれが署名、生年月日も記入します。漢字は戸籍通りに記載しましょう。
住所
住民登録をしているところの住所と、世帯主の氏名を記入します。住民登録をしている住所とは、住民票がある住所です。離婚届と同時に転居届を提出する場合は、転居届に記載の住所を記載します。
本籍
夫婦の本籍地と戸籍筆頭者の氏名を戸籍謄本通りに、正確に記入します。戸籍筆頭者とは、戸籍の一番はじめに記載されている人のことです。
父母の氏名(続柄)
夫婦それぞれの父と母の氏名を記入します。父母が婚姻中のときは母の姓は不要であり、名だけを記入します。なお、養父母の場合は、同じ書き方で離婚届の”その他”の欄に記入します。
この時、父母が離婚している場合や、死亡している場合を問わず、実の父母の名前を記入します。続き柄は父母との関係を、長男、二男、三男・・・、長女、二女、三女・・・で記入していきます。
離婚の種別
どのような方法で離婚したのか、いずれかの該当する箇所にチェックを入れます。調停離婚(審判)、裁判離婚の場合は成立、あるいは確定した日付も記入します。
婚姻前の氏にもどる者の本籍
該当するところにチェックを入れて、その人の本籍も記入します。ただし、離婚後も婚姻中の姓を名乗る場合は、この欄は空白にして別に”離婚の際に称していた氏を称する届”なるものを提出しなければなりません。新しい戸籍を作る場合の筆頭者は自分になります。
未成年の子の氏名
未成年者の子がいる場合、養育する親権者を決めてから子の氏名を記入します。どちらが親権者となるのか決まっていない場合、離婚届は受理されませんので注意しましょう。
同居の期間
同居を始めたときは、結婚式を挙げた日か、同居を始めた日の早いほうのいずれかを記入することになります。別居したときは、別居したタイミングの日時を記載します。別居をしていないならここは空欄か、転居する日が決まっているならその日付を記入しましょう。
別居する前の住所
すでに別居しているときは夫婦で同居していたときの住所を記載することとなります。もし、別居していなければ空欄のままで構いません。
別居する前の世帯のおもな仕事
その世帯の主な収入源となる仕事を、6つの分類の中から、あてはまるものにチェック印を入れます。
夫妻の職業
具体的な夫婦の職業ですが、記載するのは5年ごとに行われる国勢調査のタイミングだけで問題ないので空欄でも構いません。
その他
父母が養父母の場合はここに記入します。父母の氏名と、同様の書き方で記入します。
届出人
届出人の署名・押印をします。印鑑は認印でも可能です。この欄については、代筆は許されず、必ず本人が署名・押印をする必要があ
離婚届の提出
離婚届の提出先は一番近い役場の戸籍課になります。提出方法は郵送でも持参しても、第三者に提出してもらっても問題ありません。郵送の場合は、役場に届いたときが届出日になります。
離婚届を受理する役所は、それを形式的に確認するだけとなります。離婚の届出をした者の本人確認の手続き(運転免許証などの身分証を持参しておきましょう。)をすることで、離婚届は受理されます。
役所で離婚届の受理がされると、その時点で協議離婚は成立します。なお、事務手続上では、離婚届が受理されても、離婚の事実が直ちに戸籍に反映されて記載されることになりません。
本籍地の行政区域が変わらないときであれば2日から4日程度で戸籍に記載されますが、離婚後の本籍地に市町村間の移動が伴うときには2週間程度かかるようです。
離婚後の手続きに新しい戸籍謄本が急ぎで必要になる場合には、あらかじめ役所に所要日数を確認しておくことが必要になります。
また、離婚届の受理証明書の交付を受けることで、離婚の事実を証明することもできます。
まとめ
離婚届自体は難しいものではなく、上記のような注意事項を読まれたら問題なく行うことが出来るはずです。しかし、離婚届を出す前に、離婚の条件などについてしっかりと取り決めを行っておく必要があります。離婚後に取り決めをすることも可能ではありますが、無用なトラブルや不利な条件になることが多くお勧めできません。離婚届を出す前に離婚の条件を決める際、悩むようなことがあれば弁護士に相談されることをお勧めします。