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はじめに
離婚しようと決意して相手と話し合いを繰り返しても、合意できないこともあるでしょう。そうすると協議離婚はできないということになりますので、離婚調停をすることが必要となります。
離婚調停は、弁護士に依頼せずに進めることもできますが、その場合、どのように進めるとよいか、より有利に進めるにはどうすればよいのかなど、いくつかのポイントがあります。
この記事では、離婚調停の進め方のポイントについて解説していきます。
時間がかかることを理解する
調停には時間がかかります。
調停の申し立てをして、第1回の期日まで1か月半から2か月ほどは見ておかなければなりません。
第1回の期日以降も、次の期日までの間は1か月から1か月半は間が空きます。
そのように調停には時間がかかることを頭に入れたうえで、基本方針を立てなければならないというのが1つ目のポイントです。
早く調停を成立させたいという場合には、調停も相手と折り合って合意を目指す手続きですので、こちらが折れて早期に妥結することを検討しなければなりません。逆に、条件面を譲らずに超長期戦に持ち込むことも選択肢です。
申立書などで第1回調停期日までにこちらの主張を理解してもらう
調停の第1回までに、こちらの言い分や今の状況の説明等を調停委員に理解してもらうことは大切です。
通常は、申立書(とくに事情を記載する欄)をしっかり作成して対応します。
申し立ての際に、しっかりとした申立書を提出しておけば、第1回調停期日までの間にやるべきことは特にありません。不足だと思うなら、追加の主張書面や陳述書を提出しておきましょう。
また、相手方から「答弁書」といって、申立書に対する反論を記載した書面が提出されることもあります。
その場合は、答弁書をしっかりと読んで、再反論を検討しておきましょう。
感情的にならない
調停の期日においては、感情的にならないことが大切です。
建設的な話をしなければ話し合いは進みませんので、冷静に話すことが大切です。
感情的に話すと、時間を空費するだけだと考えましょう。
事実に基づいて話す
「主張」と「事実」は別であることを理解した上で、事実に基づいて話すことも重要です。
「相手方のことが嫌いになったから離婚したい」「相手方を許せないから慰謝料を支払ってほしい」というだけでは、主張が通ることはありません。
調停委員が知りたいのは、離婚原因としてどのような事実があったのか、慰謝料の支払い義務が発生するような事実としてどのようなことが具体的にあったのかということです。
証拠を提出する
事実を裏づける証拠がある場合には、提出しておきましょう。
申立人と相手方との言い分が食い違う場合、調停委員にはどちらの言うことが正しいのかはわかりません。
この場合、言い分が違うということを前提として折り合いをつけていくため、話し合いに時間がかかってしまいます。
しかし、客観的な証拠を突きつければ、相手方の無駄な言い訳や嘘をブロックできますので、話し合いがスムーズに進みやすくなります。
妥協点を考えておく
相手と言い分が対立している以上、どこかで妥協をすることが必要です。どのような紛争にも、いわゆる落としどころというものがあるので、これをベースにして考えをまとめておくといいです。
慰謝料や養育費の金額には一定の相場がありますし、財産分与、親権などの決め方についても一定のルールがあります。
これらの相場やルールとかけ離れた主張に固執しても、その主張が受け入れてもらうことはありません。
陳述書や主張書面を活用する
陳述書とは、裁判所に自分の認識したこと(していたこと)を報告する形で提出する書面です。主張書面は、調停や裁判などで主張したいこと(法的主張または事実主張どちらも可)をまとめて記載した書面のことです。弁護士でない当事者が離婚調停において作成する分には、あまり区別しなくて大丈夫です。
様式にも記載する内容にも特に決まりはありませんので、自由に記載して提出することができます。
離婚調停の申立書にも言い分を記載する欄がありますが、枠が小さいため、詳細は陳述書に記載して提出することをおすすめします。提出するタイミングも、第1回調停が始まる前でもいいですし、ある程度争点が絞られてきた調停期日間で出すこともできます。
弁護士に相談すること、途中からでも依頼することを考える
離婚あるいは離婚調停の進め方について、弁護士からアドバイスを得ることは有益です。依頼する前提でなくても、相談を受けてくれる場合はありますので、法律相談という形で離婚調停についてアドバイスをもらいに行くことができるということを知っておくだけでも良いと思います。
また、調停の途中からでも弁護士に依頼することが可能ですので、どうしても思うようにいかない場合は、途中からでも弁護士に依頼することを検討してみてください。
まとめ
協議で離婚できないということはある程度こじれる要素があるということですが、離婚調停においては主張の対立が激しくなって、何度も調停期日が開かれ長期化してしまいます。
その場合、時間だけなく精神的な負担も大きなものになります。
離婚調停をスムーズに進めて、適切に問題を解決するためには、ぜひ弁護士に相談されることをお勧めします。