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婚姻費用分担請求の方法、調停の流れについて

投稿日:2020年12月2日 更新日:

はじめに

夫または妻との別居を考えたとき、別居後の生活費について不安に思うことがあると思います。そのような場合の手当てとして、婚姻費用分担請求ができます。婚姻費用分担請求は、別居後、離婚が成立するまでの生活費の分担を請求するものです。

以下では、婚姻費用とは何か、どのように決まるのかも含めた婚姻費用分担請求調停の流れについて説明します。

背を向ける夫婦

婚姻費用とは

婚姻費用とは、別居中であっても夫婦であるかぎりは生じる扶養の義務に基づいて配偶者に支払う、生活を維持するために必要な費用のことです。

簡単に言うと別居が始まってから離婚が成立するまでの月々の生活費ということになりますが、当然、かかった生活費を全額請求できるわけではありません。

どれくらいの金額を請求できるかについては、家庭裁判所が利用する「婚姻費用算定表」を参照して決めていきます。子どもの数、年齢ごとに算定表が分かれており、横軸が請求する側、縦軸が請求される側の年収になっています。以下のページで公開されていますので、参考にしてみてください。

平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

 

請求のしかた

婚姻費分担請求を行うのに決まった方式というのはありません。原則として当事者の協議で決まる事柄ですので、直接話し合って合意できるなら、そのまま取り決めることが出来ます。その場合も合意した内容を書面にしておくほうが良いでしょう。

話し合いが難航しそうな見込みのときは、月○○円の婚姻費用を請求するというような内容の文書を送付して請求することもあります。婚姻費用は、請求を行った時から相手方に支払い義務が生じるという考え方が主流なので、とりあえず証拠に残る形で請求を行うことが大切です。

相手が協議に応じない、あるいは協議の結果金額に隔たりがある場合、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を起こすことになります。

ちなみに、離婚調停とは別事件になりますが、家庭裁判所では同じ当事者間の離婚調停と婚姻費用分担請求調停が同一期日で進められていることがよくあります。

 

婚姻費用分担請求調停を申し立てる方法

婚姻費用分担請求調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者間で合意により定めた家庭裁判所に申し立てを行います。

婚姻費用分担請求に必要な書類は以下のとおりです。

・婚姻費用分担請求の申立書(裁判所のHPからダウンロード可能)

・夫婦の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)

・申立人の収入関係の資料(源泉徴収票・給与明細・確定申告などの写し)

・可能であれば相手の収入を証明できるもの

場合によっては、追加書類の提出が求められることもあります。

婚姻費用分担請求の申立てにかかる費用は、収入印紙1200円分と郵便切手数百円分(家庭裁判所によって異なるので裁判所に問い合わせてください。)です。

これらを家庭裁判所に提出すれば申立てが完了です。

 

婚姻費用分担請求調停の進み方

申立後、1か月から1カ月半ほどの日程で第1回期日が指定されます。

調停は1回あたりおおむね2時間から3時間程度で、夫婦各々に対し、交互に調停室で聞き取りが2~3回ほど行われることになります。

家庭裁判所到着後は、受付を済ませて、それぞれ申立人待合室、相手方待合室で、調停が行われるのを待つことになります。

待合室、調停室では、夫婦が顔を合わせないように配慮されているため、基本的に相手に会うことはありません。

調停は申立人、相手方それぞれが交互に、調停室に呼ばれて調停委員と話すことになります。

第1回の調停期日が開始されると、調停の進め方などの説明後、婚姻費用分担請求調停を申し立てた経緯を聞かれたり、収入や生活状況についての質問を受けたりすることになります。しっかりと事実を伝えましょう。

2度目に調停室に呼ばれた後は、相手の主張と算定表に基づく目安の金額が伝えられます。双方がこれらのやり取りの中で合意すれば、1度きりで終わることもあります。多くの場合は、1か月から2カ月ほど先に次回期日が設定されて続いていきます。

 

調停が成立した場合

調停が成立した場合は、合意内容をまとめた調停調書が作成され、夫婦の前で読み上げられます。この際、金銭や日付の記載ミスがないか、記載漏れがないか、記載内容に解釈の相違がないかを必ず確認してください。

調停調書は、裁判の確定判決と同じ効力を有しています。調停調書で定められた義務が守られない場合、強制執行手続を実行することも可能です。そのため、調停調書の謄本を手元に保管しておく必要がありますので、成立時に立ち会う裁判所書記官に調停調書の謄本を郵送してくれるよう申請しましょう。

 

調停が不成立だった場合

調停が不成立となった場合、自動的に審判に移行します。審判は、裁判官が証拠に基づいて事実を認定し、認定された事実を踏まえて妥当な金額を決定します。

裁判所による審判が確定した場合には、調停調書と同じように強制執行手続を行うことが可能となります。

そのため、審判で確定した義務が履行されなければ、調停調書の場合と同様に、相手の給与差し押さえなど強制執行を行うことも可能となります。

 

まとめ

婚姻費用分担請求は、別居中の生活を安定させる重要なものになりますので、早期に取り決めることは重要です。当事者間で話し合いがまとまらないときは、弁護士に相談して今後の進め方を考えてみると言いと思います。

 

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